日本乳幼児精神保健学会とは
概要
会員数 355名(2020.4)
統合時会長 渡辺久子
副会長 高橋睦子・Dalrymple規子
会長あいさつ
日本乳幼児精神保健学会の新たなスタートにむけて
日本乳幼児精神保健学会は、この度新しいスタートを迎えます。
令和2年の年明けから、コロナウイルスが世界に流行し、多くのいのちが奪われ、日常生活が損なわれています。
このような危機において、いつもしわよせを受けるのは、ものいえぬ乳幼児です。
今こそ私たちは、乳幼児の幸せを守り、親や養育者を支え、親子の瞳が希望で輝く、持続可能な社会作りにとりくみたいと願います。
そこで一昨年から話し合いを重ね、世界乳幼児精神保健学会(WAIMH)日本支部と、日本乳幼児精神保健学会FOUR WINDSが一つに統合しました。
乳幼児は「社会脳」というものを生まれながらに持ちます。
つまり周囲にアンテナを張り、人知れず緊張し、不安になり、心が傷つきながら生きています。
そのことを理解し、その苦しみを予防し解決する専門分野として乳幼児精神保健があります。
人生早期の幸せを守ることが、健やかな人生を導き、精神障害も予防することが、科学的に実証されています。
こころは人生早期から、その子の資質と周囲の環境との、ふれあいの中から紡ぎだされます。
受胎という命の誕生から最初の数年の間に、脳は急激な回路の発達をとげます。
心身症、うつ病、ひきこもりなどのメンタルな問題のルーツには、しばしば乳幼児期から不安緊張を抱えながら、誰にもつらい気持ちを理解してもらえずにきた背景が認められます。
その一方、障がいや疾病や育ちにくい特質を持ちながら、親子が周囲にしっかりと支えられ、ともに明るく困難をのりこえて生きている姿もたくさんあります。
私たちはこれからも、WAIMHとの四半世紀にわたる絆をさらに深め、世界の仲間と手をつなぎながら歩みます。
日本各地の風土・文化に根ざした、豊かな直観的育児を掘りおこしていきます。
と同時に現代の工業化社会のグローバリゼーション、経済格差、人口流出入や災害などが、どのように、育児や保育や療育現場に影響しているかを、複眼的重層的にとらえながら解決していきたいと思います。
開かれた学際的学会をめざし、多職種と広く連携します。
赤ちゃんや乳幼児から、人間のこころの発達の本質を学び、人類共通の地球温暖化やウイルス感染対策などの課題にも、乳幼児の目線から取り組み、持続可能な社会を次世代に伝えていきたいと願います。
日本乳幼児精伸保健学会 会長
渡辺久子